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映画編集長のおススメ映画コラム
虹の彼方に
「もうカンサスじゃない」
アバター (ジェームズ・キャメロン 監督) [DVD]
 「アバター」(2009)を観ていたら、冒頭でこんなセリフがあった。
 "You are not in Kansas any more. You are on Pandora."
 (ここはもうカンサスじゃない。諸君は惑星パンドラにいるのだ)
 これを聞いて思わずニヤリとした。「また出てきた」と思ったのだ(残念ながら字幕では、「地球じゃない」と訳されていたが)。
 思えば「摩天楼ニューヨークはバラ色に」(1987)でもニューヨークにたどり着いたマイケル・J・フォックスが、"Toto, I guess we're not in Kansas any more."(「トト、ここはもうカンサスじゃないよな」)と独り言を呟いていた。
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 実はアメリカの映画やドラマで「もうカンサスじゃない」というセリフは数え切れないくらい多く使われている。
 つまり、アメリカ人にとって、たとえカンサス出身でなくても、遠くに来た場合に「ここはカンサスじゃない」というのは定番になっているのだが、なぜかご存知だろうか。
 これはもともと「オズの魔法使」(1939)に出てくるセリフだ。竜巻によってオズの国に飛ばされたドロシーが飼い犬のトトに向かって言う、"Toto, I've a feeling we're not in Kansas any more."(トト、ここってカンサスじゃない気がするんだけど)が原典。それぞれに若干言い回しの違いはあるが、すべて「オズ」を踏まえたセリフなのである。

国民的童話
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 「オズの魔法使い」はもともとL・フランク・ボームが1900年に書いた童話だが、引用されるのはもっぱら1939年の映画からだ。
 出版と同時に大人気となり、すぐに舞台でも上演。そこから30年ちょっとの間に5回も映画化され、1939年に決定版となる「オズの魔法使」が製作された。この映画は後にテレビでも繰り返し放映され、事実上原作よりもこちらが正調「オズの魔法使」となっている。ストーリーは主人公ドロシーがブリキのロボット・かかし・ライオンと共にオズの国を目指すというもの。筋書きも知名度も日本でたとえるなら「桃太郎」に近い。もっとも「桃太郎」が何百年も前の室町時代に成立したのに比べ、「オズ」はたかだか数十年から1世紀。これは日本とアメリカの歴史の古さの違いによるものだが、逆にいうと「オズ」は非常に短い期間にあの広いアメリカ全土に普及したのだから、いかに愛された物語かがわかるというものだ。
 近年、ブロードウェイ・ミュージカル「ウィキッド」が大ヒットしているが、これは「オズの魔法使い ビギニング」とでもいうべき内容で、「西の魔女」がどうして悪い魔女になったかを描く、ちょうど「スターウォーズ」Ⅰ~Ⅲのような物語で、日本では劇団四季によってロングランしている。

さまざまな引用
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 「オズの魔法使」から引用されたセリフはほかにも山ほどある。
 劇中に登場する小人たちを「マンチキン」と言うのだが、アメリカ映画で子供たちに「おちびちゃん」のつもりで「マンチキン」と呼びかけるシーンは多く観られるし、悪い魔女に怯えて隠れてしまったマンチキンたちに善い魔女が呼びかける"Come out, come out wherever you are."(どこにいても出ておいで)は、ゲリラ戦さなかの兵隊や、警官にひるまない悪党のセリフとして何度も転用されている。
 悪い魔女が死んだときに唄われる "Ding dong! The Wicked Witch is dead!"(ディンドン! 悪い魔女は死んだ!)は、物事を成し遂げたときに「やったね!」というニュアンスで頻繁に使われる。2008年の日本映画「西の魔女が死んだ」(梨木香歩原作)の題名もこの映画から採られたものである。
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ [DVD]
 同じく日本映画でオズを引用しているものにもうひとつ。「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(2007)で佐藤江梨子が演じたのは、高校時代に学園祭でドロシー役をやったことがきっかけで女優を目指すダメ女だった。
 「オズの魔法使」へのオマージュの極め付きは竜巻の恐怖を描いた「ツイスター」(1996)。登場する竜巻観測機の名前がずばり「ドロシー」となっている。また、「オズの魔法使」と同じようにハリケーンで牛が舞い上げられる場面がある。

オズにまつわる歌
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 映画やドラマだけでなく、オズは歌の題材にもなっている。
 いちばん有名なのはエルトン・ジョンの「Goodbye Yellow Brick Road」という曲で、「黄色いレンガの道」というのはオズの国へ続く道。これをたどってドロシーたちは旅をするのである。エミネムにも「Yellow Brick Road」という曲がある。
 なお、映画「オズの魔法使」はミュージカルなのだが、中でいちばん有名な曲がジュディ・ガーランドが唄う「Over The Rainbow(虹の彼方に)」。のちに、ジュディはアンサーソングとでもいうべき「I'm Always Chasing The Rainbow」という曲も唄っている。ちなみにこちらはショパンの「幻想即興曲」の 中間部カンタービレに歌詞をつけたもの。「カンタービレ」って用語、今やもう説明いらないよね。
東西の違い
ロード・オブ・ザ・リング ― コレクターズ・エディション [DVD]
 「お供をつれて旅をする物語」というのは童話やお伽ばなしにたくさんあるが、西洋と東洋ではちょっと違いがある。
 「桃太郎」や「西遊記」、ぐっと現代に近づいて「宇宙戦艦ヤマト」もそうだけど、我々東洋の物語では目的地にたどり着いたら必ず何かを手にすることができる。鬼の財宝だったり、ありがたいお経だったり、「放射能除去装置」だったり。
 ところが、西洋の物語ではたいてい何ももらえない。「オズの魔法使」ももちろんそうだけど、メーテルリンクの「青い鳥」もトルーキンの「指輪物語(「ロード・オブ・ザ・リング」(2001)」だってそうだ。
 西洋では、モノをもらえない代わりにどうなるかというと、自己成長するのだ。旅というプロセスそのものを通じて、自分自身が成長し故郷に戻る。それが何よりの成果だから即物的な報酬はいらないというわけ。
オズの魔法使 特別版 [DVD]
 悔しいが、何だか西洋のパターンのほうが恰好いいじゃないですか。
 「オズの魔法使」でドロシーは故郷に帰りたがっているが、すでに自分にその力があることを教えられる。ルビー色の靴のかかとをコツコツ鳴らして、"There's no place like home."(ふるさとがいちばんいい)と唱えるだけでよかったのだ。そうやってカンサスに帰ってきたドロシーは成長を遂げ、周囲の人を慈しむ心を得るというのがこの映画の締めくくりだ。金銀財宝を持って帰るよりよほど貴重な財産ではないだろうか。
 「アバター」では主人公ジェイクが旅先である惑星パンドラを「新しい故郷」とする。終盤、ジェイクとネイティリはお互いを見つめてこう言う。
 "I see you."
 簡単な言葉だが、ニュアンスを汲み取って簡潔に訳すのは困難だ。むしろ英語のまま味わいたい。
 ではでは、今回はこれくらいで。
 またお逢いしましょう。

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