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狼男だよ
御三家
ヤング・フランケンシュタイン〈特別編〉 [DVD]
 狼男は、英語では"Wolfman"もしくは"Werewolf"である。パロディ映画「ヤング・フランケンシュタイン」(1974)に、こういう場面がある。
 「この辺は狼男(Werewolf)が出ますよ」
 「Werewolf!? (狼男だって!)」
 (指差しながら)「There wolf(狼そこ)」
 "Werewolf"を"Where wolf?"(狼どこ?)に引っ掛けた、日本人にだって百パーセント聞き取れるくだらない駄洒落なのだが、くだらなすぎて笑ってしまう。
 さて、現在公開中の話題作に「ウルフマン」(2010)があるが、狼男と吸血鬼ドラキュラ、それにフランケンシュタインを加えた3人(匹?)は古典的モンスターの御三家だ。
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 ではなぜ御三家なのか。
 次のように思った人もいるのではなかろうか。
 「怪物くんのしもべだから」
 たしかにそりゃそうなんだが、「怪物くん」の脇役にこの3匹(人か?)が選ばれたのにも、もっと古い所以がある。彼らはすべて、「戦前のユニバーサル映画の代表選手」だったのだ。
 ユニバーサルというと、日本にもある「ユニバーサル・スタジオ」を擁し、映画だけにとどまらずテーマパーク業界でもディズニーと並び立つ存在だが、かつては「ホラー映画のユニバーサル」だったのである。
魔人ドラキュラ [DVD]
 この3匹(やっぱ3人かな)は、ちょうど「寅さん」が渥美清、「ハマちゃん」というと西田敏行、「ジャック・スパロウ」といえばジョニー・デップというのと同様、俳優と役がセットで有名になった。
 「狼男」(1941)はロン・チャニー・Jrの、「魔人ドラキュラ」(1931)はベラ・ルゴシの、「フランケンシュタイン」(1931)はボリス・カーロフのそれぞれ当たり役となったのであった。
 ちょっと脇にそれる。
 ご存知の方もいるだろうが、実際には「フランケンシュタイン」はモンスターの名前ではなく、それを創造した博士の名前だ。ただ、モンスター(実際は名前なし)があまりに有名になってしまったので、怪物の名前だと誤解している人も少なくない。
フランケンシュタイン [DVD] FRT-275
 「パブロフ」と聞くと「犬」を連想するのと似ている。我々にとっては、「パブロフの犬」という言葉自体がすでに条件反射そのものなのである。パブロフは犬でなく人なんだがな。
 さらに脇へそれる。
 映画「フランケンシュタイン」で、ボリス・カーロフはクレジットされておらず、配役のところは「?」となっている。
 名前を伏せることで、怪物の不気味さを強調したのだろうが、こんな扱いを受けているのはほかには、
 「サザエさんにおけるタマ」
 くらいなものだ。タマと一緒か、ボリス。かわいそうなボリス。

狼男もの
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 「ウルフマン」は先に書いたロン・チャニー・Jrの「狼男」の正統なリメイクだ。
 原典から実に70年ほどの隔たりがあるが、その間にも狼男を題材とした映画はたくさん作られた。
 とくに多かったのは1980年代だ。
 「ハウリング」(1981)、「狼男アメリカン」(1981)という狼男映画2本がヒットした。これで一気にブームが到来したのである。
 ちょうど80年代は特殊メイクの技術が飛躍的に向上し、従来とは一線を画した真に迫った映像を作れるようになっていたのだ。
 狼男がほかの2人(かなあ)と決定的に異なるのは、「変身する」こと。
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 吸血鬼やフランケンシュタインが最初から怪物の恰好をしているのと違い、狼男は人から狼へ変身する。
 剛毛が生え、牙が伸び、骨格の形が変わる。これらを特殊メイクでリアルに見せる。狼男は特殊メイク全盛の80年代にぴったりだったのだ。
 ちなみに、この2本とも特殊メイクを担当したのは、斯界の神様リック・ベイカー。今年の「ウルフマン」もこの人がメイクを担当している。
 その後、ホラーの域を超えた寓話の傑作「狼の血族」(1984)や、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985)のマイケル・J・フォックスが狼男を演じたナンセンス・コメディ「ティーン・ウルフ」(1986)が作られた。今観ると結構すごいが、当時だって失笑ものだったぞ。
アンダーワールド スペシャル・エディション [DVD]
 今世紀に入ってからは、「アンダーワールド」(2003)シリーズや、「ヴァン・ヘルシング」(2004)、「ニュームーン トワイライト・サーガ」(2009)などが作られているが、面白いことにこれらはすべて「吸血鬼もの」である。
 つまり、狼男は主役ではなく吸血鬼映画への助演ということになる。
 「吸血鬼と狼男、奇蹟のコラボ実現!」
 「吸血鬼カップリング・ウィズ狼男」
 21世紀の狼男はことごとくそういった扱いなのである。
 だが、ここへ来てようやく狼男が「ピン」で登場する映画ができたわけだ。しかも原典の忠実なリメイクである。

吸血鬼の変容
ヴァン・ヘルシング [DVD]
 「ドラキュラ」といえばブラム・ストカー原作の小説の主人公だが、もともと「吸血鬼」「ヴァンパイア」というのは西洋に古くからある伝説だ。吸血鬼に血を吸われた人もまた吸血鬼になる。これは中世ヨーロッパを脅かした黒死病・ペストの暗喩である。つまり「疫病の感染」の象徴なのである。
 現代では、古典的な「疫病」は医学の発達とともに根絶されかかっているので、その象徴である「吸血鬼」も居場所がない。その代わりに現代人が直面しているのはさまざまな「ウィルス」である。ウィルスとその感染を象徴するモンスターは「ゾンビ」(1978)だ。
 かつての吸血鬼は陽の光を嫌った。太陽に当たると死んでしまうのだ。
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 ところが、ゾンビは死なない。昼間でも活動できる。中世と違い、人工の光で闇を消し去ってしまった現代においては、ゾンビこそ似つかわしい。
 古典的吸血鬼とゾンビは、一見まったく別の怪物に思えるが、こうやって考えると同じ象徴なのである。
 映画にもなった「アイ・アム・レジェンド」(2007)に登場するヴァンパイアは、吸血鬼とゾンビの中間の存在だ。吸血鬼のように知能を持ち夜しか活動できないが、その姿はまるっきりゾンビである。
 吸血鬼からゾンビへ。恐怖を象徴する怪物も時代と共に変化していくものなのだ。

フランケンシュタインの子ら
ピノキオ スペシャル・エディション (期間限定) [DVD]
 では、フランケンシュタインはどうだ。
 大きく定義するとこの怪物は、人造人間である。創造主たる神ではない人類によって生み出された生命である。
 フランケンシュタインの映画は近年めっきり見かけないが、そのテーマにおいてフランケンシュタインの子孫たちは大きな繁栄を遂げている。
 やや教条的で説教臭い言い方になるが、「フランケンシュタイン」に描かれているのは、「自然の法則を無視する人間の思い上がりへのしっぺ返し」と、「生かされて意識を持ってしまった非生命の苦悩」だ。
 この意味で、「ATOM」(2009)も「A.I.」(2001)も「ピノキオ」(1940)も「ブレードランナー」(1982)も「ターミネーター」(1984)も、すべてフランケンシュタインの怪物の末裔なのである。

赤ずきんちゃん気をつけて
ブレードランナー クロニクル [DVD]
 さて、それでは狼男が象徴するのは何だろう。
 西洋では狼は人間の敵だ。イソップ童話に出てくる狼の扱いのそりゃ酷いことひどいこと。というのも、狼は放牧してある羊を狙うので、蛇蝎のごとく嫌われたわけだ。
 つまり、人間の生活圏へ侵入してくる外敵ということだが、「狼」という記号が表すものは、それにとどまらない。
 ピンクレディーの古い歌に「男は狼なのよ」というのがあるが、「狼」は男性の象徴だ。対する「羊」は女性の象徴である。
 「あらしのよるに」(2005)は狼どころか羊までが男性の設定だったのでやけに同性愛じみた複雑な映画になっているが、あれが女性だったら非常にストレートな純愛映画(狼が羊を食べない!)であったことだろう。
あらしのよるに スタンダード・エディション [DVD]
 シャルル・ペロー版の「赤ずきん」(もちろん、狼が出てくる話だ)には、次のような「教訓」が添えられている。
 「美しく愛らしく人好きのする女の子は/どんな相手と口をきいても間違いのもとになるから御用心」(澁澤龍彦訳)
 ここまで露骨に書かれると、「狼=男性」以外の解釈のしようがない。
 また、太陽を男性の象徴とするなら、月は女性と見ることができよう。
 狼男にはこういう性質がある。
 「満月を見ると狼に変身する」
 これほどわかりやすいメタファーがあるだろうか。

教訓
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 七面倒くさいことを考えなくて、ただスクリーンを見つめているだけでも、映画を観るということは楽しいものだ。
 だが、このようなことを考えるのもまた楽しいものである。
 特に、誰かと映画を観にいったとしても、お互い「面白かったね」だけでは会話も弾まない。
 「あのシーンは、こういう意味かなあ」
 なんて語り合うほうが断然愉快なはずだ。
 もっとも、あなたと映画を観に行った人が狼男だったりすることもあるから、注意したほうがいい。
 映画の中で狼男は銀の弾丸を撃ち込まないと退治できないが、あなたの隣の狼男はうまくいけば跳び蹴りやパンチくらいで撃退できるかもしれない。
 くれぐれも鍛錬を怠らないように。
 ほら、キックキック。パンチパンチ。
 またお逢いしましょう。
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